「公務員の志望理由ってどんなものがある?」「どういう人が公務員を目指すの?」
公務員を目指す人、それから現在公務員で今後のキャリアを模索中の方々にとって、一般的に公務員を志望する人にはどのような志向があるのか、自分は公務員が向いているのか、気になることがたくさんあるのではないかと思っています。そんな方々に向けて、一つの事例として、私の志望理由を共有できればと思います。参考になれば幸いです。
まずは簡単に自分の経歴についてです。国立大学の人文系学部を卒業した後、新卒で経済系の官庁に就職、3年程度で2つの部署を経験したあと転職し、現在人事系のコンサルティング会社に勤務している20代半ばの社会人です。今回は、そもそも大学卒業後になぜ役所に公務員として就職する道を選択したのか、私の志望理由についてです。
➀多様な志向を持つ人みんなが生き生きと活躍できる社会創りに貢献したい
私はとにかく、みんなが幸せに暮らせる社会になればいいなと思っていました。公務員をはじめ、公的な仕事を志したり、それに携わる方々の多くは、まずこう考える人が多いのではないでしょうか。
そして「みんなが幸せに暮らせる社会」と言ったときの着眼点は人それぞれかと思います。
「みんな」とは誰のことでしょうか。文字通り「全世界の人」みんな、かもしれません。「老若男女」みんなでしょうか、「都会の人も地方の人も」みんなでしょうか、「先進国の人も発展途上国の人も」みんなでしょうか。私がこだわりたかったポイントは、「志向、得手不得手がそれぞれ違う」みんな、という観点でした。
「暮らす」とはどのような場面において、着目するポイントは何でしょうか。十分に食べられることでしょうか、安心して医療サービスを受けられることでしょうか、治安のよい環境に囲まれることでしょうか、多様な交通手段が確保されていることでしょうか。ここで私がこだわりたかったポイントは、「能力を発揮して生き生きと仕事できる」ということでした。
上記の観点を合わせると私がこだわったポイントは、「志向、得手不得手が違う多様な人々みんなが、能力を発揮して生き生きと仕事をして暮らせる社会」を創りたい、というものでした。
能力の発揮の仕方はたくさんあると思いますが、多くの人は企業に属して仕事に携わることを踏まえると、日本の企業が元気になること、個人だけでなく企業の強みや特徴が伸びていく形で活性化されることが重要だと考えました。企業の特徴や強みが明確になることで、働く個人に求められることも分化し、より多様で豊かな社会になっていくのではないかと考えました。そのような社会の実現に貢献すべく、企業や個人の多様な活躍のありかたを底支えする仕事に、ざっくりと興味を持ったのです。
②政策立案に携わりたい
1つ目が携わりたい目標についてでしたが、それに対してどのように携わりたいか、という点が2番目です。
私は、具体的に特定された誰かの助けになりたい、というよりは、「色々な志向の人が活躍できる」ような環境整備に興味がありました。掲げた理想に貢献できるような制度の設計、インセンティブ構造のデザインといった大括りのテーマに惹かれました。
従って、ビジネスの世界に飛び込んで市場のプレーヤーとして活躍することによりも、ビジネスプレーヤー(経済主体)が活躍する場の環境整備、すなわち政策立案に携わりたいと思うようになったのです。
また、政策にも色々な工程があると思いますが、施策の実行だけでなく、どのように課題を特定し、どのように解決していくことが望ましいかといったことから考えることができる、なるべく上流の工程からデザインできるような仕事が良いなと考えました。自分自身、問題設定や課題認識の方法に納得できるかどうかが、大きく仕事への態度に影響するタイプだと感じていたからです。
加えて、経済学のような、より良い(効用を最大化できるような)社会のデザインとは?といった政策的な思考方法に興味を持っていたこともあり、民間企業でビジネスに携わるよりも、政策立案を通じて社会課題の解決に向き合ってみたいと思うようになりました。
③行政組織を見てみたい
公務員を志した理由の3つ目が、単なる好奇心として、行政がどのように執り行われているのか、行政組織はどのようなものか、知りたいというものです。
TVの報道番組やワイドショーでは、国の政策や政治家に対して批判的な話題が必ずと言っていいほど取り上げられています。その批判は正しいし、コメンテーターが展開する「もっとこうしろ」といった意見も最もだと思われるものばかりです。
なのに現実的にはそのような改善が実現されることはそう多くないように感じていました。それは何故なのでしょうか?報道番組の主張が間違っているのでしょうか?政策を考えたり実行する人たちには何か深い事情があるのでしょうか?テレビにはそうした批判されているサイドの人たちの言い分は紹介されませんから、上記のような疑問は解けません。それならば自らそこに飛び込んで、世間(=報道番組等でみられる意見)の言い分と政策立案の現場で起きていることのギャップを見てみたいと思うようになりました。
また、自分の性格として、問題を誰かのせいにするような議論があまり好きでないという傾向がありました。特定の個人や組織に原因を求める議論は時に明快ですが、その個人や組織にもそれなりの事情(論理)があるはずであり、より根本的な解決のためには、組織や個人の在り方を規定する構造そのものを問い直すことから始めるべきだと考えるタイプでした。そうした性格もあってか、報道番組の意見に頷く一方で、わかりやすい結論に違和感を持つ自分がいたことが、身をもって行政を経験したいと思うに至ったきっかけの一つだったと思います。
④番外編:将軍になりたい!?
以上の3つが、ざっくりとした私の公務員志望動機だったと思います。一方でそれとは別に、公務員に対するある種の憧れのようなものも中学生頃からありました。
私は中学生頃から、古代中国を舞台とした時代小説にハマっていました。あの手この手で敵国を占領していくかっこいい将軍や、一国を見事にマネジメントしていく賢明な君主など、バラエティ豊かなキャラクター像に惹かれ、恥ずかしげもなく「おれもこんな風になりてえ」と思っていた時期がありました。
そんな多様なキャラクターの中で一際自分の心に刺さったキャラクターがいました。彼は戦争で敵国を占領していく武将ではなく、戦乱期にあっても自国内の農業や商業の発展、国を支える人材のマネジメント、前線に確実に穀物を供給するライフラインの確保など、戦争をメインに描いた小説の中では裏方的な存在でしたが、1番輝いて見えたのです。そうした舞台を裏から決定的に支える、内政に長けた「知将」に憧れてしまったのです。
当時の私は、現代で言えば政治家か国家公務員がそれに値するだろう、どうやら政治家はいきなりなるものではないらしいから、国家公務員を目指そう、と思うようになりました。そうした過去の強い興味が、自分の中で温められてきた側面も、公務員を志望した背景と言えるのかなと思います。
おわりに
以上のような興味、関心や志向から私はファーストキャリアとして公務員を選びました。皆さんはいかがでしょうか。公的な仕事に携わっている・興味がある方には少なくとも共通点があるのではないかと想像します。元公務員の志望理由の一例として、またみなさんの自己分析の一助として、もし参考になれば幸いです。 そして、実際のところ公務員の仕事はどうだったのか、というところが次のポイントとなるかと思います。そちらについてもまた記事にしようと思いますのでご笑覧ください。
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